109質問 x 439観測で分かった、
AIに引用されるサイトの条件
AI検索は誰を引用するのか。GPR(Generative PR)実験で109の質問をChatGPTに投げ、439回の応答から4,365件の引用URLを収集。440の異なるドメインを分析して見えた、AIに引用されるための5つの条件。
109
質問数
439
AI応答の観測数
4,365
引用URL総数
440
ユニークドメイン
なぜこの実験を行ったのか
私たちはSightedのLPとブログに34本の記事を持っていた。SEOの観点からは十分なコンテンツ量だ。しかし、GPR実験の結果は衝撃的だった。
一般クエリでの引用率: 0%
「AEO対策で実績のある会社は」「AI検索で引用されるには」など、自社のド真ん中のクエリで、引用もメンションもゼロ。34本の記事は、AIの回答に一切使われていなかった。
ブランド名を含むクエリ(「Sightedとは」等)ではメンション率100%、引用率38%。AIは私たちの存在を認識しているが、一般的な質問で推薦するほどの信頼は与えていない。この差の原因を解明するために、109の質問で体系的な実験を行った。
実験方法
GPR(Generative PR)実験とは、AI検索エンジンに対して構造化された質問を投げ、応答に含まれる引用URL・メンションを統計的に分析する手法。同じ質問を3-5回繰り返すことで、AIの応答のばらつき(非決定性)も観測する。
固定シード10問(日英各5問)+ AI自動生成99問。ブランドクエリと一般クエリを分離設計。
各質問を3-5回試行。引用URL、メンションテキスト、応答の文脈をすべて記録。合計439観測。
4,365件の引用URL、440のユニークドメイン。ドメインの分散度、カテゴリ別引用率、引用パターンを分析。
発見1: 定番サイトは存在しない
最も引用されたドメインでさえ、全体の10.6%しか占めていない。440ドメインが引用されており、AEO・AI検索最適化の領域には「定番」が存在しない。
| # | ドメイン | 引用数 | シェア |
|---|---|---|---|
| 1 | youtube.com | 461 | 10.6% |
| 2 | reddit.com | 221 | 5.1% |
| 3 | note.com | 117 | 2.7% |
| 4 | prtimes.jp | 100 | 2.3% |
| 5 | webanalytics.speee.jp | 61 | 1.4% |
| 6 | lp.sighted-aeo.com | 59 | 1.4% |
| 7 | customs.go.jp | 48 | 1.1% |
| 8 | crevia-ts.com | 44 | 1.0% |
| 9 | 0120.co.jp | 43 | 1.0% |
| 10 | acquia.com | 43 | 1.0% |
この数字が意味すること
トップのYouTubeですら10.6%。1位を独占しているサイトはない。これは「今からでも定番ポジションを取れる」ことを意味する。多くの企業にとって、AI検索のシェア争いはまだ始まっていない。
発見2: AIが実際に引用するコンテンツの型
4,365件の引用URLをカテゴリ別に分類すると、AIが好むコンテンツの型が見えてくる。
動画コンテンツ(10.6%)
YouTube動画が最多引用。手順を視覚的に示すチュートリアルが特に強い。テキスト記事より具体的な「やってみた」コンテンツが優位。
コミュニティの声(5.1%)
Redditの議論スレッドが2位。実際のユーザーによる体験談、比較議論をAIは「第三者による検証」として重視している。
個人の実体験レポート(2.7%)
note.comの個人ブログが3位。一次情報として「自分でやった結果」を具体的に書いた記事がAIに好まれる。ただし企業の宣伝記事は引用されにくい。
プレスリリース(2.3%)
PR Timesが4位。サービスの公式発表・データ公開がAIの情報源として機能。Siteimproveはプレスリリース1本でAI回答に登場した。
共通点は明確だ。AIが引用するのは具体的な経験・データ・手順を持つコンテンツ。汎用的な「...とは」解説や、ツールの機能紹介は引用されにくい。
発見3: 「自社の話」は引用されない
私たちの34本の記事の内訳を見ると、なぜ一般クエリで引用率0%だったかがわかる。
- AEO最適化ログ #001-#007(自社の改善日記)
- Sighted実践ガイド(ツールの使い方)
- AEOフレームワーク(抽象的な方法論)
全て「Sightedの話」。AIの回答に使える一般情報がない。
- note.com -- 個人の実体験レポート
- YouTube -- 具体的手順を見せる動画
- PR Times -- サービスリリース情報
共通点: 具体的な経験・データ・手順がある。
記事の量は問題ではなかった。視点が問題だった。AIは「あなたの会社の話」を聞きたいのではない。「この質問に対する最良の回答」を探している。自社のことしか書いていない記事は、AIにとって引用する理由がない。
発見4: ドメイン分散度が高いクエリが狙い目
各クエリのAI引用URLを分析し、「引用元がどれだけバラけているか」を測定した。分散度が高いほど、定番サイトがいない = 参入余地が大きい。
| クエリ | 分散度 | 月間vol | スコア |
|---|---|---|---|
| AEO対策で実績のある会社は | 0.47 | 3,600 | 11.5 |
| companies specializing in AI visibility | 0.37 | 3,600 | 24.3 |
| AI検索で社名が出ない原因と対策 | 0.33 | 3,600 | 16.4 |
| AEO対策とSEO、BtoB SaaSはどっち優先 | 0.33 | 3,600 | 10.9 |
| ChatGPTで引用されるAEO施策 | 0.30 | 3,600 | 14.7 |
スコア = 分散度 x log(月間vol) x 自社の強み。Google Keyword Planner 2026年6月時点。
月間検索ボリューム3,600の「AEO」関連クエリで、分散度0.47(14社に極度分散)。これは全テーマで定番不在の今が、参入の最適タイミングであることを意味する。
AIに引用されるサイトの5つの条件
439回の観測から帰納的に導き出した、AIに引用されるための条件。
一次データを持っている
他サイトの引用や一般論ではなく、自分で実験・調査・計測したデータがある。AIは「この情報はここにしかない」と判断できるコンテンツを優先する。
質問に直接回答している
「AEO対策の始め方」と聞かれたら、「AEOとはAnswer Engine...」と定義から始めるのではなく、具体的な手順を最初に書く。AIは「この質問に最も直接的に答えているページ」を選ぶ。
業界視点で書かれている
「当社はこうしました」ではなく「業界ではこうなっている」。自社の改善日記は、読み替えれば業界のリサーチレポートになる。視点の転換だけで引用可能性が変わる。
複数の情報源で存在が確認できる
自社サイトだけでなく、プレスリリース、メディア掲載、ソーシャルでの言及がある。AIは「この情報源は他のソースでも確認できるか」を評価している。
定番不在のクエリに対してコンテンツがある
分散度の高いクエリ(AIの引用先がバラけている質問)に対して、質の高い回答を提供する。既に定番がいるクエリに後から参入するより、まだ誰も支配していないクエリを狙う方が効率的。
あなたのサイトで今日からできること
- 自社の質問空間を特定する -- AI検索であなたの業界に関連する質問を体系的に収集し、誰が引用されているかを調べる。
- 分散度の高いクエリを見つける -- 引用先がバラけているクエリは、定番がいないことを意味する。そこがあなたの参入ポイント。
- 「自社の話」を「業界のリサーチ」に書き換える -- 改善日記やケーススタディを、業界の知見として再構成する。同じデータで、視点を変えるだけ。
- 一次データを含める -- 数字、実験結果、計測データ。他のサイトにはない情報が、引用される最大の理由になる。
- プレスリリースで外部シグナルを出す -- 自社サイトの記事だけでは不十分。PR Timesやメディアを通じて、AIが「確認できる」外部ソースを作る。
実験データについて
本記事のデータは、Sightedが独自に開発したGPR(Generative PR)実験フレームワークによる分析結果です。2026年6月時点のChatGPT(GPT-4o)を対象に、109の質問を3-5回ずつ試行し、合計439回の応答を観測しました。AI検索の応答は非決定的であり、質問のタイミングやモデルのバージョンによって結果が変動する可能性があります。検索ボリュームはGoogle Keyword Planner 2026年6月のデータを参照しています。